透水試験とは(技術資料)の特徴
1.透水試験とは
動水勾配iと地盤中を流れる流速v(m/s)との間に、ダルシー(Darcy)の法則と呼ばれる次式の関係が成り立ちます。この式の比例定数が透水係数k(m/s)を表します。
v=ki=k △h/L
透水試験とは、井戸やボーリング孔を利用して透水係数を求めるための試験です。
2.試験方法の概略
透水試験の方法として、下表に示す六つの基準が地盤工学会基準として定められおり、実施機会の比較的多いJGS 1314について説明します。試験方法の流れを下図に示す。
基準番号 | 基準名称 | 適用範囲 | 試験方法 | 得られるパラメータ | |||||||||
対象地盤 | 飽和・不飽和 | 定常・非定常 | 単孔・多孔 | ||||||||||
未固結 | 岩盤 | 締固め地盤 | 飽和 | 不飽和 | 定常 | 非定常 | 単孔 | 多孔 | 透水係数 | 貯留係数 | その他 | ||
JGS1314 | 単孔を利用した透水試験方法 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | |||||
JGS1315 | 揚水試験方法 | ○ | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | |||
JGS1316 | 締固めた地盤の透水試験方法 | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
JGS1321 | 孔内水位回復法による岩盤の透水試験方法 | △ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | |||||
JGS1322 | 注水による岩盤の透水試験方法 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
JGS1322 | ルジオン試験方法 | ○ | ○ | ○ | ○ | ルジオン値 | |||||||
注)適用範囲、試験方法 ○:用いられる、△:場合により用いられる。 得られるパラメータ ○:求められる、△:求められる場合がある |
3.結果の利用
透水係数は、地下水に関係する各種問題で必要となります。例えば、地下掘削に際しての湧水量や水位低下量の算定や、ディープウェル工法・ウェルポイント工法などの設計に用います。また、薬液注入効果の確認や、山留め壁選定の参考にすることもあります。
4.結果の目安
透水係数は、下図に示すように、地盤の種類によって大きく異なります。ただし、この範囲から外れることも多いので、適切な方法で試験を行うことが必要です。